ラージャスターンの口琴 - Morchang -
インドラージャスターン地方特有の口琴
Morchang मोरचंग モールチャング
インド北西部ラージャスターン地方の鉄、真鍮、銅製の口琴です。
現地の発音では、「モールチャング」の最後の「...グ」はほぼ発音しないので、、小文字割る2にしたいくらいの発音なので実際の発音は、「モールチャン」に近いです。
同じ国の口琴である南インド古典音楽「カルナーカ・サンギータ」の古典楽器の口琴「モールシン」の幾何学的で表現豊かなパーカッション奏法に比べ、
モールチャングはラージャスターンでは、先住民族の「ビール」という部族の遊牧民によって演奏されていたという説があります。反復される民謡独自のリズムの中で口笛を吹くときに使われる舌の位置を前後させるような奏法を織り交ぜ、歌を模倣するように演奏されます。
インドの砂漠の民謡音楽らしくカラフルな音色が特徴です。
近年は、ラージャスターンの音楽家カースト「ランガ」や「マンガニヤール」、「ジョーギ」などの演奏家の中では、南インドの演奏法を取り入れたり、ビートボックス的なリズムのような要素を前面に押し出すような、パーカションとの掛け合い奏法を取り入れる奏者が新たな演奏法として流行し始めています。

ジャイサルメール市内
カラカールコロニー在住のモハーン・ラル・ロハールさん
丁寧に時間をかけて繊細な楽器つくりの腕の良さは、
インド人ミュージシャン達に広く認められています。
モールチャングは、オルガンやハルモニウムの真鍮製のリードに似た構造で
口内の歯でフレームを固定し指で弾くのは世界共通。
金属製のフレームの素材の種類と、その間の
隙間と細いリードを指で弾いた時の振動と、口内の呼吸によって 音を奏でますが、 モハーン氏の作る弁の柔らかさ加減が、絶妙に合わさることによって
生まれる音色は独特の響きです。
柔らかな分だけ指のコントロールに繊細になりますが、
世界中の口琴ファンにも広く好まれる鍛冶屋の音楽家です。
口琴以外にも
ラージャスターンのダブルフルートのアルゴーザ&サッタラ。
木製カスタネットのカルタールなどもとても丁寧で、
しっかりとした音色の楽器たちを作ります。 ダブルフルートのアルゴーザも奏法について一から丁寧に、 制作現場の自宅での仕事の合間に、時間をいただき伝授してもらいました。


↑5年前の写真
モハーン氏作の蛇(コブラ)遣いのリード笛 Pungi
*インド各地のストリートで見かける、蛇遣い
この楽器も演奏するという菅楽器奏者がインドやパーキスターンに存在します。
同じく同市ジャイサルメール市内在住のモールチャン作家 ケタラーム・ロハールさん
父親の跡を継ぎ生活必需品の鉄鋼職人であるとともに、
口琴モールチャングを作る名工房そして、モールチャング奏者としてもモハーン氏と合わせて知る人は多いです。 モハーン氏のものと比べ、よりシンプルな外観には周りのフレーム
音色は、ラージャスターンの口琴ならではの柔らかさと長く響きしなるリード弁の音色を
兼ね備えています。ピッチの高さに応じて高くなるとより、リード弁のしなりの立ち上がりが
早く、固めな印象です。初めての方でもコントロールしやすいのでビギナー向け。

近年はインド国内外からのオーダー数も多い分だけ、素材やデザインに至るまで
作成の経験を踏まえながら丁寧に答えてくれました。
ケタラームさんは店構は基本的に露天商です。ジャイサルメールへ訪れるたびに
毎年、違う場所へ移動していますが、ここ5年間の経過を見ていると、市内からだんだんと自宅に近い北部のエリアに移動して行っていますね。次回訪れる時には、どのくらい自宅に近くなっているか?? 仕事の効率化なのかな?